AIがラブレターを書く時代|チャットフィッシングは新たな恋愛詐欺か

公開日: 02/11/2025

Un couple qui s'est rencontré sur Noulib se donne la main

恋愛に疲れてしまう時代、完璧なメッセージや魅力的な第一声、夜の誘惑的なテキストをChatGPTに書かせたくなる誘惑に駆られるのは自然なことです。しかし、その行為は「手助け」と「ごまかし」のどこに線を引くべきなのでしょうか。本稿では、AIを使って相手を惹きつける新しい現象「チャットフィッシング」に注目し、「感情は本物でも、言葉が偽物のとき」に何が起こるのかを探ります。

スワイプして、マッチして、いざメッセージを送ろうとすると手が止まります。自信があり、ユーモアがあり、感情的にも知的に見せたいのに、うまく言葉が出てこない。そこで頼るのが、新しいデジタルの相棒であるChatGPTです。

「この人とうまく会話したいけど、必死に見えないように手伝って」と入力します。提案された文章をそのまま送ると、うまくいきます。やり取りは夜ごと続き、会話は機知に富み、詩的で、官能的で、惹きつけられるものになります。けれど一つだけ問題があります。相手が惹かれているのは「あなた」ではないのです。

これがチャットフィッシングです。AIを使って相手を惹きつけたり、感情的につながったりするこの巧妙で魅惑的な行為は、一見無害に思えるかもしれませんが、恋愛アプリの世界に静かな倫理的議論を巻き起こしています。

なぜ今起きているのか

恋愛は今、疲れる行為になっています。感情的な負担、既読スルー、燃え尽き、そしてプロフィールの海で目立とうとするプレッシャー。多くの人が、会話を始めるという最も単純な部分でさえ、重荷に感じています。そんな中でAIは救いのように見えます。賢く、でもやりすぎず、少し脆さを見せつつも重くなく、セクシーでありながら安全なメッセージを作ってくれるのです。

ReplikaやEVA AI、ChatGPTのようなアプリは、すでに何百万人もの人々に使われています。目的は単なる感情的サポートではなく、感情そのものの「外注」です。そしてAIツールの社会的な受け入れが進むにつれ、チャットフィッシングは「裏切り」ではなく「効率化」と感じられるようになっています。

それでも不誠実なのでしょうか

ここにグレーゾーンがあります。誤字脱字を直すためにAIを使うのは問題ありません。気持ちの伝え方をより良くするために提案を受けるのも許容範囲でしょう。けれど、毎日AIに人格を作らせ、そのまま相手に送り続けることを黙って行うとすれば、話は違ってきます。

チャットフィッシングは、単に嘘をつくことではありません。「うまく嘘をつく」ことなのです。相手はあなたの文体や言葉の選び方、ユーモアや脆さに惹かれています。しかし、それらは本来のあなたから自然に出たものではありません。実際に会ったとき、そこに違和感が生まれます。あなたは確かにあなたですが、相手が恋に落ちた「あなた」ではないのです。

代筆された感情の代償

ゴーストライターは本やスピーチ、SNSの投稿でも珍しくありません。しかし、感情的な親密さに関しては、言葉には特別な重みがあります。「あなたと話していると安心する」「こんな人に会ったのは初めて」というメッセージは、確かな絆を生みます。けれど、その言葉がAIによって作られたものなら、そのつながりは本物といえるでしょうか。それとも「誠実さの模倣」にすぎないのでしょうか。

人が真実を知って傷つくのは当然です。彼らは「あなた」とやり取りしていたのではなく、「機械が設計したあなた」と会話していたのです。

演じることへのプレッシャー

もちろん、すべてが悪意に基づくわけではありません。多くの人はAIを「嘘をつくため」に使っているわけではなく、不安だったり、疲れていたり、社会的に不器用だったり、神経的に繊細だったり、母語話者でなかったりするからです。そうした場合、AIは「感情の支え」として、本音を言葉にする手助けになることがあります。それは悪いことではありません。ただし、誠実さがあればの話です。人々が怒るのは「手助け」を受けたことではなく、「裏切られた」と感じることです。

相手があなたの独特な声に惹かれていると信じれば信じるほど、それがAIだったと知ったときの衝撃は大きくなります。

今、真実性とは何を意味するのか

多くの人がプロフィールを整え、フィルターを使い、友人に自己紹介文の相談をします。AIはその延長線上にあるのかもしれません。しかし、「補強」と「偽造」には明確な違いがあります。前者は自分をよりよく見せるものであり、後者は自分を置き換えるものです。

AIを使って「言いたいけれど言えないこと」を表現するのは、自分を表現しているのではなく、「幻想を演出」しているにすぎません。そして、その幻想が他人の本物の感情とぶつかったとき、壊れるリスクは高くなります。

AIとの誠実な関係を築くために

AIを恋愛に使う別の方法もあります。それは、創造的で、率直で、むしろ魅力的なやり方です。例えば、こう言ってみるのです。

「正直に言うと、このメッセージはChatGPTに手伝ってもらいました。あなたにいい印象を与えたくて。うまくいったみたいですね。」

あるいは

「自分は会話が苦手なのでAIに助けてもらいました。でも興味を持っているのは本気です。」

こうした言葉が生むのは、完璧さではなく「信頼」です。そして信頼は、完璧なセリフよりもずっと魅力的です。

技術は常に恋愛の形を変えてきました。手書きのラブレターから電子メール、そしてマッチングアプリまで、私たちは長い間、親密さの間に道具を挟んできました。しかし、どんな道具もあなた自身の声を代わることはできません。どんな機械もあなたの感情を代弁することはできません。どんなアルゴリズムも誰かの心を抱きしめることはできません。

AIは本物の気持ちを伝える手助けにはなります。しかし、「不器用で、人間らしく、不完全な愛」は、最後まであなた自身の中から生まれなければならないのです。


自由恋愛

「自由恋愛」は、より「自由」な性の関係を意味します。従来の法律や倫理観に縛られることなく、複数者間の恋愛や性、性的嗜好などに正直であろうとする考え方であり、姿勢です。様々な価値観が認められる現在において、注目される「自由恋愛」について解説します。